おすすめのチリワインをご紹介します。

## チリワインの特徴
チリは、素晴らしい気候(Weather)に恵まれ、綺麗な女性(Women)が多く、美味しいワイン(wine)産地という『3Wの国』と言われています。また、日本においては、輸入ワインの国別No.1という切っても切れない間柄の国です。チリワインというと『安ワイン』のイメージが強いかも知れませんが、ヨーロッパのワインのプロ達が続々とチリでワイン造りを始めたり、テロワールに拘ったワイン造りをする醸造家が増えたりなど、質的にも充分期待が持てるワインが造られています。

### 気候
チリは冬の数ヶ月だけ集中して雨が降って、晩春から夏の終りまでは乾燥している典型的な地中海性気候です。年間を通して雨が少ないので、アルプスの雪解け水を利用した灌漑用水が欠かせません。また、夏場は30℃を超える気温になることもありますが、夜になるとかなり涼しくなり、昼夜の気温差がとても大きいのも特徴です。

### 風土
チリはアルゼンチンの西に位置する南北に細長い国です。アルゼンチンとの国境には、6,000m級の山々が連なるアンデス山脈、太平洋側には海岸山脈が走っていて、2つの山脈に挟まれた中間部にセントラル・ヴァレーが広がっています。太平洋からのフンボルト海流と標高の高さのおかげで暑さが和らげられ、熟度の高いブドウ栽培が可能となっています。

## チリワインが「安旨」と言われるのはなぜ?!
1-雨が少ない気候
雨が少ないチリの気候のおかげで、ブドウ果実の水ぶくれを防いでエキス分の多いブドウを造ることができます。
2-標高が高く1日の気温差が大きい
チリは標高が高いため、日中は30℃を超える茹だるような暑さでも夜は肌寒いほど涼しくなります。このような日較差により、熟度の高いブドウ果実ができます。
3-ヨーロッパからの移住者による技術の伝播
チリは、フィロキセラの被害のない国です。19世紀には、フィロキセラによる大ダメージを受けたヨーロッパのから、醸造家や栽培家が続々とチリへ移住してきました。また、鉱山で富を得ていたチリの富豪たちは技術者をフランスから招聘したり、シャトーまるごと輸入することで、本格的なワイン造りを可能にしました。

## チリワインの主なぶどう品種
チリでは、赤ワインが白ワインの約3倍栽培されています。チリで栽培されるワイン用のブドウ品種は80種類になります。

### ぶどう品種1(栽培面積No.1)
カベルネ・ソーヴィニョン
チリでは、ボルドー品種が多く栽培されていますが、その中でもダントツがカベルネ・ソーヴィニョンです。主な生産地はマイポ・ヴァレーです。

### ぶどう品種2(栽培面積No.2)
ソーヴィニヨン・ブラン
白ワイン用のブドウ品種では栽培面積第1位です。1990年代くらいまでは、トロピカルフルーツの香りのものが多かったですが、このところは、青っぽい香りやグレープフルーツのような爽やかな香りのソーヴィニヨン・ブランが増えてきています。

### ぶどう品種3(栽培面積No.5)
カルメネール
19世紀半ばにボルドーから持ち込まれた品種です。晩熟品種なので、ボルドーでは途絶えてしまいましたが、天候の良いチリではずっと生き続け、長らくメルロと勘違いされていました。カルメネールがカルメネールとして発見されたのは、1994年11月のこと。カルメネールの語源はCarmine『新紅色の』という意味からきているほど、色素の濃い品種です。しっかりと成熟したカルメネールは、柔らかくて丸いタンニンと凝縮した果実味が感じられ、樽熟成によるコーヒーやチョコレートのような香りに包まれます。

## チリワインの主な産地
チリのワイン産地は、南北に1,400kmにも及ぶため、気候や土壌に大きな違いがあります。
北から順に各D.O.(原産地呼称)の特徴を簡単に説明します。
### D.O.アタカマ
ピスコという蒸留酒を造るモスカテルが栽培されています。海岸よりはフンボルト海流の影響で涼しいので、ソーヴィニヨン・ブランなどが栽培されています。
### D.O.コキンボ
緯度が低いので日照量は多い上に、冷たい海風や標高の高さのおかげで暑さを和らげてくれてブドウ栽培に適した産地です。ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、シラーなどが栽培されています。
### D.O.アコンカグア
周囲を山々に囲まれた穏やかな地中海性気候の平地です。日照量が多く、日較差も大きいためブドウの成熟にはもってこいの条件です。カベルネ・ソーヴィニョン、カルメネール、シラーなどのしっかりとした赤が中心に造られています。
### D.O.セントラル・ヴァレー
チリのブドウ栽培の始まりの地である広大なブドウ産地です。最近はテロワールの特徴に合わせた新品種の栽培が盛んで、海外から移住してきたワイン生産者とともにMOVIという生産社団体を組織しています。雨量が少ないため、灌漑が必須の地域です。
### D.O.サウス
降水量が多い地域です。パイスの栽培が多く、ほとんどが国内消費用のワインが造られています。
### D.O.セカノ・インテリオル
クリコ、マウレ、イタタ、ビオビオの4地域の非灌漑地域で栽培したパイスとサンソーに適用される呼称です。
### D.O.アウストラル
2011年に新らしく認定された最南の原産地呼称です。シャルドネ、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングも栽培されています。

## チリワインの歴史をちょこっと紹介
チリのブドウ栽培は16世紀半ばにスペインのカトリック伝道者が聖餐用のワインのためにパイス種を植えたことに始まります。1818年にスペインから独立したチリは、鉱物資源を元に経済が成長していくのですが、そんな中生まれた鉱物富豪がワイン産業のスポンサーとなってチリのワイン産業が発展していきます。また、19世紀末にヨーロッパのワイン産業に多大な被害をもたらしたフィロキセラ問題によって、ヨーロッパのワイン醸造家や栽培家がチリへ移住してきます。このように、チリのワイン産業はヨーロッパからの苗木と技術の輸入によって『シンプルで分かりやすいワイン』を主軸として発展してきましたが、国際市場で生き残るために、付加価値のあるプレミアムワインを造ることへシフトしてきます。現在ではテロワールを重視した『敵地的品種』の考え方で、新鮮さと複雑味を兼ね備えたワイン造りを目指してワイン造りが行われています。