夏の風物詩ともなっているうなぎ。毎年、土用の丑の日にはうなぎの蒲焼を召し上がる方も多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では「うなぎの蒲焼の発祥の地」と言われる埼玉県の浦和出身で、さまざまなワインとうなぎの蒲焼のペアリングを試してきた筆者が厳選した、うなぎの蒲焼に合うワインを6つ紹介したいと思います。
ぜひこの記事を参考にしていただきながら、今年の土用の丑の日には、うなぎの蒲焼とワインのペアリングを試してみてはいかがでしょうか?
目次
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うなぎの蒲焼に合うワインって、どんなワイン?
ひとくちに「うなぎの蒲焼」と言っても、関東と関西ではその作り方や食感は大きく変わってきます。
うなぎを焼き上げる前に、一度蒸すのが関東風。こうすることで、ふっくらとした食感に仕上がります。
一方、蒸す工程を経ず、ダイレクトに焼くのが関西風。長く焼くので、パリッとした食感に仕上がりになります。
慣れ親しんできたものや好みによって、どちらが好きかは人によって分かれるでしょう。
ただ、いずれにしても、うなぎの蒲焼といえば「ちょっと贅沢をしたいときや、特別なときに食べるもの」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?
そのため、うなぎの蒲焼には、普段飲んでいるデイリーワインよりも、ちょっと格上のワインを合わせてみるのがおすすめです。
個人的には、格上のワインを飲むことの高揚感から、うなぎの蒲焼の特別感も一層高まります。
味わいの観点では、しょう油が焼けた香ばしい香りに、甘辛いタレ、濃厚な旨味などがうなぎの蒲焼の大きな特徴と言えるでしょう。
これらを引き立ててくれるのは、果実味の豊かな、ボリューム感のあるタイプの赤ワインです。また、うなぎの蒲焼の香ばしい香りには、枯葉や腐葉土、キノコのような複雑な香りが感じられる赤ワインもよく合います。
うなぎの蒲焼に山椒をかける場合は、スパイスの香りが感じられるものを選んでもいいでしょう。
甘辛いタレに合わせて、コクと複雑味のある甘口の白ワインやスパークリングワインを選ぶという手もあります。
うなぎ蒲焼に合う赤ワイン
パードゥッチ ピノ・ノワール スモールロット・ブレンド メンドシーノ
「カリフォルニア四大ピノ・ノワール産地」のひとつに挙げられる、メンドシーノのピノ・ノワールのワインです。
生産者はメンドシーノでも特に有名なパードゥッチ。それぞれのブドウ品種が持つ固有の魅力を引き出すことや、できるだけ人の手を加えずに自然に近いワイン造りをおこなうことを理念としている生産者です。
熟したイチゴやラズベリーを思わせる芳醇な香りに、わずかな腐葉土のニュアンス、みずみずしい果実味と心地よい酸味のバランスのとれた味わいが特徴的で、うなぎの蒲焼の香ばしさや豊かな旨味を一層引き立ててくれます。
自然派ワインを好んで飲まれる方にもおすすめの1本です。
- 原産国:アメリカ
- 産地:カリフォルニア州 メンドシーノ・カウンティ
- 品種:ピノ・ノワール100%
- タイプ:赤ワイン
- 生産者:パードゥッチ
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- ボディ:ミディアムボディ
- 容量:750mL
- 参考価格:2,300~3,000円
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ クラシコ カピテル・デ・ロアリ
ワイン名にある『アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ』とは、イタリアのヴェネト州で伝統的に造られている、陰干ししたブドウから造られるワインのこと。陰干しすることによってブドウのエキス分や糖度が高まり、凝縮感のある力強いワインに仕上がるのです。
生産者はルイジ・リゲッティ。100年以上アマローネを作り続けてきた老舗ワイナリーです。
煮詰めたイチゴジャムやビターチョコレート、甘いスパイスなどの複雑な香りに、なめらかな口当たり、凝縮された果実味が特徴的で、うなぎの蒲焼の醤油が焼けたような香ばしい香りや濃厚な旨味にマッチします。
アマローネのなかでは比較的お求めやすい価格ながら品質は高く、コストパフォーマンスに優れる点も魅力的な1本です。
- 原産国:イタリア
- 産地:ヴェネト州
- 格付け:アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラD.O.C.G.
- 品種:コルヴィーナ・ヴェロネーゼ/ロンディネッラ/モリナーラ/その他
- タイプ:赤ワイン
- 生産者:ルイジ・リゲッティ
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- ボディ:フルボディ
- 容量:750mL
- 参考価格:3,500~4,500円
ル・スイユ・ド・マゼイル オーガニック
ボルドーのポムロール地区の高級ワインとして名高い「シャトー・ペトリュス」のオーナー、ムエックス氏がポムロール地区で手掛けるワインです。
ポムロール地区は「クラス・ド・フェール」と呼ばれる鉄分を含んだ土壌のために、ワインにも独特の個性が生まれます。そのような土壌への理解の深いムエックス氏だからこそ造れる、高品質なオーガニックワインです。
ブドウはメルローを主体とし、カベルネ・フランがブレンドされています。芳醇な果実の香りに、甘草などのスパイスのニュアンス、豊かで丸みのある果実味に、ほどよくこなれたタンニン、ほのかにスパイシーな余韻が特徴的です。
うなぎの蒲焼の香ばしさや、ほくほくとした旨味、山椒のスパイシーさにも馴染みます。
うなぎの日をより一層特別なものに演出してくれるため、オーガニック志向の方にもおすすめの1本です。
- 原産国:フランス
- 産地:ボルドー
- 格付け:A.O.C.ポムロール
- 品種:メルロー/カベルネ・フラン
- タイプ:赤ワイン
- 生産者:シャトー・スイユ・マゼイル
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- ボディ:フルボディ
- 容量:750mL
- 参考価格:4,000~5,000円
エルミタージュ ルージュ ギガル
シラーのワインの銘醸地であるフランスのローヌ地方でも、トップクラスのシラーのワインを産み出すエルミタージュのワインです。
生産者はローヌ地方有数の生産者に挙げられるE.ギガル。毎年安定した品質のワインを造り出すことで確かな評価を得ている生産者です。
カシスやプラムなどの香りに、スパイスやバニラのニュアンス、厚みのある力強い果実味とほのかにスパイシーな風味が、うなぎの蒲焼の香ばしさや豊かな旨味、山椒のピリッとした辛味にピッタリと調和します。
飲むときは抜栓してすぐに飲むよりも、できればデカンタージュをするなどして空気に触れさせてから飲むのがおすすめです。
または、飲む当日の朝に抜栓し、再度コルクで栓をして冷蔵庫で保管し、飲む1時間くらい前に室温に出しておくという方法もあります。
いずれにしても、ひと手間加えることで、ワイン本来の香りが開き、渋みが適度にこなれ、一層おいしく味わえるようになるでしょう。
- 原産国:フランス
- 産地:コート・デュ・ローヌ
- 格付け:A.O.C.エルミタージュ
- 品種:シラー100%
- タイプ:赤ワイン
- 生産者:E.ギガル
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- ボディ:フルボディ
- 容量:750mL
- 参考価格:7,000~10,000円
うなぎの蒲焼に合う白ワイン
おたる醸造 ゲヴュルツトラミネール
北海道産ブドウを100%使用して造られた甘口の白ワインです。ブドウの収穫日を遅らせ、糖度が増した状態のブドウから造られているため、甘口の味わいに仕上がっています。
生産者は北海道ワインです。かねてより北海道の気候風土をいかしてワイン造りをおこなっているワイナリーで、同社のメインブランドが、この「おたる醸造」シリーズです。
ブドウ品種はゲヴュルツトラミネール。ドイツやフランスのアルザス地方などの冷涼な地域を中心に栽培されている品種で、北海道の冷涼な気候と相性が良く、古くから北海道で栽培されている品種です。
ゲヴュルツトラミネールの特徴的な香りとも言えるライチや白桃、シナモンのようなスパイシーな香りに、コクのある甘味と豊かな酸味、ほんのりスパイシーな余韻が特徴的。うなぎの蒲焼のタレの甘味や濃厚な旨味、そして山椒のスパイシーさにも見事なハーモニーを奏でてくれます。
日本の伝統的な料理に日本ワインを合わせるという、風流なペアリングと言えるでしょう。
- 原産国:日本
- 産地:北海道
- 品種:ゲヴュルツトラミネール
- タイプ:白ワイン
- 生産者:北海道ワイン
- 味わい:甘口☆★☆☆☆辛口
- ボディ:ミディアムボディ
- 容量:750mL
- 参考価格:3,800~4,500円
うなぎの蒲焼に合うスパークリングワイン
ローラン・ペリエ ドゥミ・セック
世界有数のシャンパーニュの生産者、ローラン・ペリエが手掛ける甘口のシャンパーニュです。
今日ではシャンパーニュというと辛口が主流ですが、こちらのシャンパーニュは18世紀の王侯貴族たちが好んで飲んでいた甘口シャンパーニュの味わいの面影を今に伝えています。
ドライフルーツやアーモンドを思わせる香りに、香ばしいブリオッシュやスパイスのニュアンス、蜂蜜のような深いコクのある甘味と適度な酸が調和した奥行きのある味わいが特徴的。うなぎの蒲焼の香ばしさや濃厚な旨味、タレの甘味によく馴染みます。
また、シャンパーニュには「特別な日に飲むもの」というイメージがあることからも、うなぎの蒲焼の特別感を一層高めてくれるでしょう。
- 原産国:フランス
- 産地:シャンパーニュ地方
- 格付け:A.O.C.シャンパーニュ
- 品種:シャルドネ/ピノ・ノワール/ピノ・ムニエ
- タイプ:スパークリングワイン
- 生産者:ローラン・ペリエ
- 味わい:甘口☆★☆☆☆辛口
- ボディ:ミディアムボディ
- 容量:750mL
- 参考価格:5,000~6,000円
まとめ
うなぎの蒲焼に合うワインを6本厳選してご紹介しました。「うなぎの蒲焼にワインは合わない」というお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、この世に星の数ほどあるワインのなかには、うなぎの蒲焼に合うワインも存在するのです。
ぜひ今年の夏は、うなぎの蒲焼とワインの素晴らしいペアリングを味わってみてはいかがでしょうか?