古くて新しい!モルドバのおすすめワイン5選【特徴や歴史も解説】

モルドバという国のワインをご存知でしょうか?モルドバはジョージアと並び、世界最古のワイン産地のひとつと考えられています。そして今、モルドバのワインが日本でも徐々に注目されつつあるのです。
とはいえ、「そもそもモルドバってどこ?」という方も大勢いらっしゃるでしょう。そこで、この記事では、モルドバについて簡単にご紹介したのち、モルドバのワイン造りの歴史やワインの特徴、おすすめのワインを5本紹介しています。「モルドバのワインを試してみたい!」という方は、ぜひ参考にしてください。

モルドバとは

モルドバは旧ソ連の構成国のひとつで、1991年のソ連崩壊によって新たに独立国として誕生しました。東ヨーロッパのルーマニアとウクライナの間の内陸部に位置し、その面積は3万3,843平方キロメートルと、日本の九州よりも少し小さいくらいの国です。

主な産業は農業。ブドウ栽培とワイン造りはその基幹産業に位置付けられています。OIV(国際ブドウ・ワイン機構)の2016年のデータによると、ワインの生産量は世界で20位。ちなみに日本は27位です。ブドウの栽培面積も日本の7倍以上もあり、いかにモルドバがワイン造りの盛んな国であるかが伺えます。
そんなモルドバには、10月の初めの週末を「ワインの日」と定め、ワインの伝統や豊穣を祝う風習があります。さらにモルドバの首都・キシナウ近郊には、全長55㎞にも及ぶ巨大なワイン貯蔵用の地下蔵あり、世界最大の地下蔵としてギネスにも認定されているのだそうです。

モルドバのワイン造りの歴史

古代

モルドバでワイン造りが始まったのは今からおよそ5000年前。モルドバの先住民族はワイン造りを盛んにおこなっており、のちにやってきたローマ人やギリシャ人とワイン造りの技術交換をしたと言われています。

中世~近現代

15世紀のモルドバ公シュテファン・チェル・マーレの治世になると、「パハルニック」というワイン造りを管理する役職が創設され、ブドウ畑の面積は拡大し、醸造技術も向上しました。
16世紀にオスマン帝国の支配下に入るとワイン造りは停滞したものの、1812年以降ロシア帝国の占領下に入ると、再びワイン造りが隆盛します。
以降、二度の大戦の影響を受けながらも、主にロシア帝国やその後のソビエト連邦の需要に応える形でワイン造りが発展しました。

現代

1980年、モルドバのワインに最大の危機が訪れます。ソ連のゴルバチョフ書記長が「アルコール禁止令」を発令したのです。その結果、モルドバのブドウ畑は燃やされたり樹を引き抜かれたりと次々と破壊され、ワインも大量に廃棄されてしまったのでした。
その後、1991年旧ソ連からの独立後、ワイン産業の回復に向けて再スタートを切り、現在モルドバのワインは国際的に高い評価を受けるまでに復興を果たしています。

モルドバの気候風土

気候

モルドバのブドウ畑は北緯46~48度に位置し、フランスのブルゴーニュとほぼ同緯度です。気候は大陸性気候で昼夜の寒暖差が大きく、ブドウは適度な酸を保ちながら成熟します。
年間平均降水量は350~600mm。やや乾燥した気候で、ブドウ栽培に非常に適しています。

土壌

モルドバの土壌の75%が腐食土や石灰岩層を含んだ「チェルノゼム」と呼ばれる黒土で、肥沃な土壌のため、化学肥料を使用せず、自然なブドウ栽培をすることが可能です。

モルドバの主なブドウ品種

モルドバで栽培されているワイン用のブドウ品種は、70%以上がカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった、世界的に栽培されている国際品種です。
モルドバの土着品種としては、フェテアスカ・アルバやフェテアスカ・レガーラ、フェテアスカ・ネアグラなどがありますが、その生産量は全体の約10%程度にとどまっています。

フェテアスカ・アルバ

「白い乙女」という意味をもつ白ワイン用品種です。紀元前から存在する古代品種と言われています。果実や花の香りが豊かな、フレッシュな白ワインを生み出すアロマティック品種です。

フェテアスカ・レガーラ

「高貴な乙女」という意味をもつ白ワイン用品種です。香り豊かで酸とミネラルのしっかりとした白ワインを生み出します。

フェテアスカ・ネアグラ

「黒い乙女」という意味をもつ赤ワイン用品種です。果実やスパイスの香りのある、果実味とタンニンの豊かな高品質な赤ワインを生み出します。

おすすめのモルドバのワイン5選

ラダチーニ フィオーリ フェテアスカ・アルバ

モルドバの土着品種、フェテアスカ・アルバのおすすめの1本がこちら。
生産者は1998年に創業したアルバストレレ・ワインズ。1,000haものブドウ畑を所有し、100%自社畑のブドウから圧倒的なコスト・パフォーマンスを誇るワインを生産しています。
産地はモルドバ南東部に位置するシュテファン・ヴォダ。年間およそ2,200時間の日照に恵まれ、豊かな香味を持つワインが生まれる地域です。
フェテアスカ・アルバを100%使用したこちらのワインは、マスカットやアンズを思わせる華やかな香りに、生のブドウを口に含んだ時のようなみずみずしい果実味が特徴的。
白身魚のカルパッチョやグリル、エビチリなどと抜群の相性です。

  • 原産国:モルドバ
  • 産地:シュテファン・ヴォダ
  • 品種:フェテアスカ・アルバ100%
  • タイプ:白ワイン
  • 生産者:アルバストレレ・ワインズ
  • 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
  • ボディ:ミディアムボディ
  • 容量:750mL
  • 参考価格:1,900円~2,500円

ドール フェテアスカ・レガーラ

CHATEAU VARTELY ドール フェテアスカ レガーラ 750ml
CHATEAU VARTELY

モルドバの土着品種、フェテアスカ・レガーラのおすすめの1本がこちら。
生産者はモルドバを代表する高評価ワイナリーのひとつ、シャトー・ヴァルテリー。250haのブドウ畑を所有し、ブドウはすべて手摘みで収穫しています。
産地はモルドバ中央部に位置するコドゥル。やや冷涼な気候で、白ワインの生産量が多い地域です。
フェテアスカ・レガーラを100%使用したこちらのワインは、青りんごや洋ナシ、アカシアの花などの華やかな香りに、豊かな果実味とシャープな酸味が調和した爽やかな味わいが特徴的。
サラダやグリル野菜などの野菜が主役の料理や、寿司や刺身、天ぷらなどの和食にもよく合います。

  • 原産国:モルドバ
  • 産地:コドゥル
  • 品種:フェテアスカ・レガーラ100%
  • タイプ:白ワイン
  • 生産者:シャトー・ヴァルテリー
  • 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
  • ボディ:ミディアムボディ
  • 容量:750mL
  • 参考価格:1,200円~1,800円

クリコバ オラシュルスブテラン フェテアスカ・ネアグラ

モルドバの土着品種、フェテアスカ・ネアグラのおすすめの1本がこちら。
生産者は1952年創業のクリコバ。国営企業であるため、モルドバの土着品種の栽培にも力を入れています。
産地はモルドバ南西部に位置するヴァルル・ルイ・トライアン。主に赤ワインが生産される地域です。
フェテアスカ・ネアグラを100%使用し、オーク樽で8ヶ月熟成させたこちらのワインは、ブルーベリーやカカオの芳醇な香りと、厚みのある果実味、滑らかなタンニンが特徴的。飲み込んだ後にかすかにミネラルの余韻を感じます。
ローストチキンや鴨のロースト、ミートドリアなどと抜群の相性です。

  • 原産国:モルドバ
  • 産地:ヴァルル・ルイ・トライアン
  • 品種:フェテアスカ・ネアグラ100%
  • タイプ:赤ワイン
  • 生産者:クリコバ
  • 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
  • ボディ:ミディアムボディ
  • 容量:750mL
  • 参考価格:1,900円~2,500円

アスコニ エクセプショナル メルロー

モルドバのお手頃価格のおすすめの赤ワインがこちら。
生産者は1994年創業のアスコニ。コドゥル地域に506haのブドウ畑を所有し、自社畑で収穫したブドウのみでワイン造りをおこなっています。
カベルネ・ソーヴィニヨンを100%使用したこちらのワインは、ラズベリーやブラックチェリーの香りに、スパイスやバニラのニュアンス、豊かな果実味となめらかなタンニンが特徴的。全体的に柔らかでエレガントな印象です。
肉じゃがや豚の角煮など、肉を使った和食によく合います。

  • 原産国:モルドバ
  • 産地:コドゥル
  • 品種:メルロー 100%
  • タイプ:赤ワイン
  • 生産者:アスコニ
  • 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
  • ボディ:ミディアムボディ
  • 容量:750mL
  • 参考価格:1,200円~1,800円

ドール マルベック・シラー ロゼ

モルドバのおすすめのロゼワインがこちら。
生産者は先にもご紹介したシャトー・ヴァルテリー。ブドウはマルベックとシラーをブレンドしています。
淡いサーモンピンク色の色調に、ダークチェリーやラズベリーのような香り、ミントのニュアンス、いきいきとした果実味と穏やかな酸が調和。丸みのある、柔らかな味わいです。
ロゼワインなのでさまざまな料理と相性が良く、特にピリ辛の中華料理やエスニックとよく合います。

  • 原産国:モルドバ
  • 産地:コドゥル
  • 品種: マルベック/シラー
  • タイプ:ロゼワイン
  • 生産者:シャトー・ヴァルテリー
  • 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
  • ボディ:ミディアムボディ
  • 容量:750mL
  • 参考価格:1,400円~2,000円

まとめ

ここでご紹介したように、ワイン造りの長い歴史をもつモルドバでは、多彩なワインが生み出されています。また、モルドバのワインは、高品質でありながら、比較的手ごろな価格帯であることも魅力のひとつ。今後日本でもますます普及していくことが予想されます。
ワインのトレンドを先取りしたい方はもちろん、少しでも気になるという方は、この記事を参考にしていただきながら、ぜひモルドバのワインを試してみてください。モルドバの恵まれた自然環境と長いワイン造りの歴史のなかで育まれてきた魅力に触れることができることでしょう。