多くの人が、漫画『神の雫』をきっかけに、ワインの世界に魅了されました。
ワインラヴァーも、ソムリエも、この漫画に運命を左右されたという人を多く知っています。
そんな神の雫に登場する特にお奨めのワインを10本紹介させていただきます。
目次
【家飲みにおすすめ】
ワイン定期便「ミシュラン星付きセレクション」
神の雫とは?
《出典:U-NEXT》
『神の雫』は、原作:亜樹直、作画:オキモト・シュウによる漫画で、2004年から講談社のモーニングで連載を開始し、2014年に連載を終了。
2015年5月28日発売の同年26号から、続編の『マリアージュ~神の雫 最終章~』の連載が始まりました。
2009年1月から3月まで、亀梨和也主演で、日本テレビで連続ドラマで放映され、話題になりました。
『十二使徒』と呼ばれるワインの頂点『神の雫』と呼ばれるワインを探し出すまでのストーリーですが、神の雫の捜索は続編へ持ち越されました。
作り手や、ワインのエピソードが多数紹介されていて、値段や格付けだけではなくワインを評価する素晴らしさが他にあることを教えてくれます。
ワインの本場フランスでも人気で、『フランス人も知らなかった知識が出てくる漫画』と絶賛されています。
2009年アングレーム国際漫画祭の公式セレクションにも選定されました。
更に同じ年に、料理本のアカデミー賞として知られるグルマン世界料理本大賞の最高位の賞をパリで受賞しました。
2010年ワイン専門雑誌『ラ・ルビュー・ド・バン・ド・フランス』が原作者の亜樹直とオキモト・シュウを選出し、ワインの宣伝に貢献したとして日本人として初めて、最高賞が贈られました。
韓国でも200万部を売り上げ、ワインブームの火付け役になりました。
この漫画が原因で、シャトー・ル・ピュイの価格が高騰し、出荷元が出荷停止にしたことも有名で、様々な社会現象を巻き起こしました。
ラ・ヴィーニュ・ド・ヴリニー・プルミエ・クリュ / エグリ・ウーリエ
モンターニュ・ド・ランスの北に飛び地になっているプティット・モンターニュ・ド・ランスと呼ばれる地域にプルミエ・クリュ・ヴリニーはあります。
ピノ・ノワールの銘醸地として知られるモンターニュ・ド・ランスの中で、突出して出来のいいムニエを生産する村が、最西端のヴリニーです。
日当たりのいい南東向きの斜面に植えられた古樹から、完熟のムニエが出来ます。
熟成期間は38ヶ月と長く、エグリ・ウーリエのキュヴェでは唯一樽も使用せずに、造られます。
芳醇なで円やかで凝縮した味わいをもつ究極のムニエです。
マルメロのコンフィチュール、グレープフルーツ、リンゴの花の蜜、アーモンド、シナモン、ヴァニラなど何層にも重なった香りを感じることができます。
トロみのある質感に、熟度の高い果実の凝縮感、コクが豊かで楽しめる1本です。
フレッシュな酸、豊かなミネラルを感じ、泡立ちも非常にきめ細かく感じることができます。
- 掲載巻:13巻
*登場シーン:ムニエのシャンパーニュとして、ミヒが雫に飲ませたワイン。 - 原産国:フランス
- 産地:モンターニュ・ド・ランス
- 品種:ムニエ
- 生産者:エグリ・ウーリエ
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:8,420円
【おすすめの料理】
ウニのクリームパスタ、豚の生姜焼き、春巻き、レモンコンフィのタジンなどです。
フュ・ド・シェーヌ / アンリ・ジロー
1625年アイ村に創業のアンリ・ジローは、アイ村のテロワールを追求しています。
醸造に使うタンクに、アイ村のプレと呼ばれる砂を混ぜて特注したものを使用したり、アルゴンヌの森の樫の木を使った木樽を使用しています。
同じ樫の木の樽でも、森ごとに、区画ごとに、ワインの味わいが異なるので、慎重にセラーマスターが選び出した木を使います。
このフュ・ド・シェーヌは、フランス語で木樽という意味があります。
アプリコットのコンポート、オレンジの果皮、アカシアの花の蜜、シナモンの甘くほろ苦い香りが特徴的です。
そして、ローストしたアーモンド、針葉樹林で深呼吸したときのような落ち着く木の香りも同時に感じることもできます。
複雑で芳醇で熟成感のある香りを嗅ぐだけでも、幸せな気持ちになれます。
持続的な泡立ちで、コクも豊か、余韻が長い素晴らしいシャンパーニュです。美食家のシャンパーニュと呼ばれるのも納得です。
- 掲載巻:36巻
- 登場シーン:ロベールが飲んでいたワイン。
- 原産国:フランス
- 産地:アイ
- 品種:ピノ・ノワール、シャルドネ
- 生産者:アンリ・ジロー
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:18,700円
【おすすめの料理】
濃厚なチーズ・フォンデュです。
コンドリュー・ラ・ドリアーヌ / ギガル
ローヌワインのて帝王と呼ばれるギガルが、1994年からリリースしたコンドリューは、自社畑の樹齢35年のヴィオニエを使ったコンドリューの最高峰の味わいです。
1haあたりの収穫量も僅か25hlという低収量に抑えられています。
バッドヴィンテージで、予想される飲み頃を遥かに超えても、飲み頃が保たれている長熟のポテンシャルをもつコンドリューです。
白桃や、アプリコット、ジャスミン、紅茶の芳醇な香りが幸せを与えてくれます。そして、口に含むと、滑らかでトロみのある質感に魅了され、凝縮された甘美な果実味、フレッシュな酸の余韻がきちんと残ります。
若々しいヴィンテージでも、熟成しても、それぞれの良さがあります。
- 掲載巻:18巻
- 登場シーン:雫の慰安会で出されたワイン。『舌の上にのせたときの盛り上がるような一体感。優しい黄金の色合いもそうだけど、なんていうか輝いているんだけど押し付けがましくない。』
『浴びた光のうちほんの半分だけ返してくれるような。宝石に喩えるならトパーズのようなワイン。』 - 原産国:フランス
- 産地:北ローヌ
- 品種:ヴィオニエ
- 生産者: ギガル
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:13,750円
【おすすめの料理】
グラタンや鶏とカシューナッツ炒めなどです。
シャルツ・ホーフ・ベルガー・カビネット / エゴン・ミュラー
1979年からシャルツホーフベルガーの最良の区画7haをミュラー家が所有しています。ドイツ5大畑の一つ特別単一畑のため、畑名のみの表示を認められています。
植わっているリースリングの樹齢は、プレフィロキセラの100年を超えるものもあります。
ザール川流域は気温が低く、スレート質土壌で、溌剌とした酸味、豊かなミネラルを携えた繊細で素晴らしいブドウができます。
シャルツホーフベルガーはまさにその代表的な畑で、エゴン・ミュラーは、その最高峰に君臨します。
カビネットは、シャルツホーフベルガーの下のキュヴェで、遅摘みになる手前のブドウが完熟した状態で収穫されます。
洋梨、マンゴー、アカシアの花の蜜、白胡椒、カモミール、ライラック、サンダルウッド、紅茶など様々な複雑でも心地よい香りを感じます。
口に含むと、非常に滑らかな質感に、繊細さを感じさせながらも、凝縮した果実味を感じます。
また、追いかけるように溌剌とした酸、豊かな旨味とミネラルが押し寄せます。
余韻に柑橘果皮のような心地よい苦味が残ります。12度から14度で、ブルゴーニュグラスで飲むことをおすすめします。
- 掲載巻:17巻
- 登場シーン:雫がワインバーのオーナーであるアンディーに飲まされたワイン。
- 原産国:ドイツ
- 産地:シャルツホーフベルク
- 品種:リースリング
- 生産者:エゴン・ミュラー
- 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:14,300円
【おすすめの料理】
サーモンもマリネ、雲丹のフランなどです。
ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ・クロ・ド・ラルロ・ブラン / ドメーヌ・ラルロ
コート・ド・ニュイにあるドメーヌ・ド・ラルロの周りを囲う畑が、クロ・ド・ラルロの畑です。
*ラルロは、ドメーヌの地下を流れる川の名前が語源です。
2003年からビオディナミに転換し、更に高い評価を受けています。
エキゾチックなパッションフルーツ、マンゴー、ミラベル、白い花、蜂蜜やヴァニラのフレッシュでフルーティでも感じる甘い香りが特徴的です。
豊かな果実味と旨味がありながらも、繊細なミネラルが印象的で、しなやかな酸、軽やかでエレガントな余韻が続きます。
- 掲載巻:32巻
- 登場シーン:オーヴェルジュ・ド・デュオの二人を仲直りさせるため、雫とみやびが用意したワイン。箱根のようなワイン。赤と白が同じ畑で造られている。
木漏れ日のような優しさ、そして空間の広がり、フレッシュな酸味の奥に潜むエレガンスが、後からふわりと立ち上がってくるワイン。 - 原産国:フランス
- 産地:ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ・クロ・ド・ラルロ
- 品種:シャルドネ
- 生産者:ドメーヌ・ド・ラルロ
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:14,860円
【おすすめの料理】
回鍋肉、ホワイトアスパラガスのソテーなど。
シャブリ・プルミエ・クリュ・モンテ・ド・トネル / フランソワ・ラヴノー
長熟シャブリの最高峰の生産者が フランソワ・ラヴノーです。
伝統的に小樽を使用することで知られていますが、発酵のスタートはステンレスタンク、もしくは新樽を使う際には発酵の段階から新樽に入れます。*
そうすることによって、ワインに樽の香りが付き過ぎるのを防いでいます。
このモンテ・ド・トネルは、グラン・クリュと同じ斜面の畑で、日射量豊かで、豊かなミネラルがあり、ミラベルや、白い花の香りが印象的なワインです。
- 掲載巻:3巻
- 登場シーン:『こんな美味しいシャブリを飲んだの初めてかも・・・。』『値段もシャブリとしては高値だけど、手摘みにこだわった長熟型で凄くフルーティー。なおかつシャブリらしいミネラル感あふれるワインを造るわ。』(みやび)
生牡蠣に合うシャブリを求めて試した白ワイン。 - 原産国:フランス
- 産地:シャブリ・プルミエ・クリュ・モンテ・ド・トネル
- 品種:シャルドネ
- 生産者:フランソワ・ラヴノー
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:55,000円
【おすすめの料理】
《出典:Paris-Bistro.com》
ブランケット・ド・ヴォーです。
シャンボール・ミュジニー / フレデリック・ミュニエ
繊細で華やかなシャンボールミュジニーらしさを表現するワインです。
19世紀にミュニエ家は、ディジョンでカカオリキュールや、ワインにブラックベリー、チェリーの味付けをした『アペリティフ・ミュニエ』を生産していました。
後に土地や、シャトーを購入し、おまけで付いてきた4haのブドウ畑が付いてきました。
1863年ドメーヌを設立し、畑を買い足してましたが、金銭面の問題で、多くの畑を貸し出すことになります。
1978年にはシャンボールの畑も買い戻し、第二次大戦以降50年間フェヴレに貸していたクロ・ド・ラ・マレシャルを買い戻し、飛躍的に評価を取り戻しました。
『ワインは自然のものであり、造りあげるものではない』と有機栽培を実施し、新樽の使用を抑え、ヴィニュロンとしてデリケートなシャンボール・ミュジニーのテロワールを表現しています。
- 掲載巻:5巻
- 登場シーン:美島がカオリに出した赤ワイン。シャンボールらしい繊細で緻密で内向的なワイン。
- 原産国:フランス
- 産地:シャンボール・ミュジニー
- 品種:ピノ・ノワール
- 生産者:フレデリック・ミュニエ
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:50,500円
【おすすめの料理】
鳩のテリーヌ、鴨のロティなどです。
シャルム・シャンベルタン / フィリップ・パカレ
2001年創業、フィリップ・パカレは、プリューレ・ロックの醸造長を務めました。
ロマネ・コンティの醸造長に誘われても断り、自分の本当に造りたいワインを造るために辞退したのは有名なエピソードです。
アルコール度数11~12度と低めで、ブルゴーニュの伝統的なワイン造りを行なっています。
無農薬で低い収穫量の果梗までよく熟したブドウを野生酵母による発酵、醸造過程でのSO2不使用という自然な造りを行なっています。
畑仕事のプロフェッショナルが集まったブドウ栽培会社を自社で設立し、専門のチームで栽培や、収穫を行なっています。
色調も淡め、香り高いエレガントな味わいのワインは、多くの人を魅了しています。
- 掲載巻:12巻
- 登場シーン:一青とローランが部屋で飲んだワイン。葛飾北斎の絵のイメージ。ビオディナミ農法。
- 原産国:フランス
- 産地:シャルム・シャンベルタン
- 品種:ピノ・ノワール
- 生産者:フィリップ・パカレ
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:31,574円
【おすすめの料理】
鶏つくね、鴨のロースなどです。
シャトー・パルメ
マルゴー村のメドック格付け3級シャトー・パルメは、ボルドーで最も妖艶という言葉が似合うワインです。
2018年にデメテール認証を取得し、自然酵母による発酵、トロンコニック型発酵槽の使用、スタイルはどんどん優しくエレガントに進化しています。
熟したラズベリー、カシスリキュール、の深いフルーティさに加え、カカオ、アニスなど微かにヴァニラの香りも感じます。
そして、その中にもスモーキーさが際立ちます。
凝縮した果実味、フレッシュな酸とキメの細かなタンニンが精巧さを感じさせます。
- 掲載巻:8巻
- 登場シーン:雫が選んだ第二の使徒候補。グレート・ヴィンテージが生み出した優れたワイン。モナ・リザでありながら、男性のダ・ヴィンチでもあるワイン。
- 原産国:フランス
- 産地:マルゴー
- 品種:メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルド
- 生産者:シャトー・パルメ
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:30,800円
【おすすめの料理】
黒酢酢豚、牛フィレのステーキ プラム添えなどです。
エミリアン / シャトー・ルピュイ
ボルドーのコート・ド・フランにて1610年創業で、その間ずっと除草剤、化学肥料、農薬を使用せず、ブドウ栽培を続けてきたシャトー・ルピュイ。
敷地は60haありますが、ブドウが植えられているのは38haのみです。残る敷地は、森や沼がそのまま残されていて、虫が生息し、牛や馬が草を食んでいます。
400年以上自然の生態系を守ることで、ブドウ樹も守られているので、除草剤、化学肥料、農薬を使わずともブドウ樹が生育できます。
地中に伸ばされた根の深さは70mにも及びます。
ブラックベリーやペダルローズのポプリ、腐葉土、鞣し革の香り、豊かで落ち着いた果実味に、自然酵母を思わせる甘酸っぱい酸、穏やかな溶け込んだタンニンが余韻に長く続きます。
ボルドーワインとは一線を画す自然な味わいのミディアムボディの赤ワインで、ブルゴーニュ好きにもオススメです。
- 掲載巻:21巻
- 登場シーン:対決の場で、河原毛部長が出した赤ワイン。400年無添加無農薬自然派ワインを造り続けてきたシャトー・ル・ピュイのワイン。
『このワインはひと言で表現するならばクロニクル(年代記)。人と天の恵みが大地に刻みつけた静かなる年代記のようなワイン。』ドラマ版の神の雫では神の雫ワインとして最後に登場した。 - 原産国:フランス
- 産地:コート・ド・フラン
- 品種:メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール
- 生産者:シャトー・ルピュイ
- 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
- 容量:750ml
- 参考価格:4,550円
【おすすめの料理】
《出典:bloguru》
仔羊のロティ、キノコ鍋など。
まとめ
漫画『神の雫』は、作り手や、ワインのエピソードが多数紹介されていて、値段や格付けだけではなく、ワインを評価する素晴らしさが他にあることを教えてくれる素晴らしい漫画です。
様々な社会現象を巻き起こし、多くのワインラヴァー、ソムリエにワインの道に入るきっかけを与えました。
掲載巻を読みながら、掲載されたワインを飲むのも楽しいですね。
楽しいワインライフをお過ごし下さい。