コスパ良し!イタリア・ラツィオ産のおすすめワイン4選【特徴や産地も解説】

「すべての道はローマに通ず」という言葉があるように、古来より栄華を極めてきたローマのあるラッツィオ州。

ローマ貴族に代表されるセレブなイメージもありますが、意外にも親しみやすい価格のワインがたくさん生産されているのです。

そこで、この記事ではイタリアのおすすめラッツィオ州のワイン4本をご紹介していきます。

ラツィオの歴史や品種などの解説も交えてお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

イタリアのラツィオ州とはどんな国か

ラツィオ州地図
<出典:Italying. >

ラツィオはイタリアにある州の名前で、人口は約570万人とイタリア国内で第3位の大きさの州です。

イタリア共和国の首都・ローマは、古来より政治や文化、宗教(カトリック)、芸術の中心都市として栄えてきました。

そんなローマを州都に擁する州が、ラッツィオ州です。イタリア中央部に位置し、西はティレニア海に面し、北はトスカーナ州とウンブリア州、東はマルケ州とアブルッツォ州、モリーゼ州、南はカンパーニア州に接します。

州の東側にはアペニン山脈が南北に走り、最も高いところでは標高2,000mを超える山々が隣のアブルッツォ州との間にそびえています。

国内総生産では、ミラノを擁するロンバルディア州に次いで第2位。農業や牧畜も盛んで、特に郊外では羊の飼育が盛んにおこなわれており、ペコリーノ・ロマーノに代表される羊乳チーズの産地としても有名です。

ラツィオ州の気候

ラツィオ州の西側の気候は典型的な地中海性気候で、温暖かつ雨が少ないのが特徴です。

イタリア20州の州都の中でもローマは最も日照時間と晴れの日が多い都市で、特に春から秋にかけてのブドウの生育期間に雨がほとんど降りません。

そのため、ブドウが病気にかかりにくくよく熟します

一方の州東部は大陸性気候で、アペニン山脈に近づくにつれ、朝晩の気温差が激しく、より涼しい気候になります。

ラッツィオ州のワインの特徴

ラッツィオ州では既に紀元前の時代からワイン造りがおこなわれていました。

そのワインは、ローマ帝国の王侯貴族に楽しまれてきたのと同時に、キリスト教の儀式でも重要な役割を果たしていたのです。

そのため、ラッツィオ州のワインは、長い歴史と人々の営みが刻まれたワインと言えます。

現在ラッツィオ州で生産されるワインの大半は白ワインで、2017年のデータによると、その7割以上を白ワインが占めています。

ラッツィオ州の代表的なワインの産地

ラッツィオ州の代表的なワインの産地としては、次の4つの地区が挙げられます。

カステッリ・ロマーニ

カステッリ・ロマーニはローマの南東に位置する、広範囲にわたる生産地区です。

ここでは白ワインのほか、赤ワインやロゼワインも生産されており、ラッツィオ州のワイン造りの中心地となっています。

フラスカーティ

フラスカーティはローマの近く、アルバーノ湖の北側にある生産地区で、マルヴァジアやトレッビアーノなどのブドウ品種から、爽やかで心地よい白ワインが生産されています

古代ローマ時代からワイン造りが盛んで、そのワインは「法王のワイン」として親しまれてきました。

フラスカーティのワインには辛口から甘口まで幅広い味わいのものがあり、辛口のものは魚介類を具材に使ったパスタやリゾットに、甘口のものは塩気の効いたおつまみによく合います。

エスト・エスト・エスト・ディ・モンテフィアスコーネ

エスト・エスト・エスト・ディ・モンテフィアスコーネはラッツィオ州北部、ボルセーナコ湖の南に位置する、中部イタリアで最も有名な白ワイン産地のひとつです。

その名前は、かつてドイツの司教の従者が、先にモンテフィアスコーネ村に行って美味しいワインがある店には「Est(エスト)!」と書くように指示されたところ、すべてのワインがあまりに美味しかったので、村中の居酒屋の壁に「Est(エスト)!」と書いて回ったことが、この名前の由来になっています。

エスト・エスト・エスト・ディ・モンテフィアスコーネのワインは、トレッビアーノやマルヴァジアなどのブドウ品種を主体としており、心地よい果実味と穏やかな酸が特徴です。

チェザネーゼ・デル・ピリオ

チェザネーゼ・デル・ピリオはラツィオ州ローマから約60キロ南下したところにある非常に歴史の古いワイン産地です。

白ワインの生産が多いラツィオ州のなかで、2008年に赤ワインで初めてD.O.C.G.(イタリアワインの格付けの最高ランク)に昇格したことで、近年注目を集めています。

この地区で栽培されているチェザネーゼというブドウ品種の歴史は非常に古く、古代ローマの王族やローマ法王に愛されていました。その後も修道士によって守られ続け、現在に至っています。

チェザネーゼ・デル・ピリオを名乗るワインは、チェザネーゼを90%以上使うことが定められています。そのワインは厚みのある果実味と豊かな酸が調和した、優美な味わいが特徴です。

おすすめのラッツィオ州のワイン4選

石関華子石関華子

ここからは、おすすめのラツィオワインを合わせたい料理などと共にご紹介します。

ポッジョ・レ・ヴォルピ フラスカーティ・スペリオーレ

手頃な価格のフラスカーティのおすすめの1本がこちら。

「フラスカーティ・スペリオーレ」とはフラスカーティの中でも特に高品質で厳しい生産規則を持つワインで、イタリアのワイン法における格付けで最高ランクのD.O.C.G.に分類されます。

生産者ポッジョ・レ・ボルピ。ラツィオ州に1970年代に創業し、現在では約40ヘクタールの畑を有し多様なワインを生産するワイナリーです。

リンゴやジャスミンの心地よい香りに、果実味と穏やかな酸が調和した、軽快かつ爽やかな味わいが特徴的。

甲殻類を使った料理や、寿司、塩味の焼き鳥など、洋の東西問わず、さまざまな料理とよく合います。

  • 原産国:イタリア
  • 産地:ラッツィオ
  • 格付け:フラスカーティ・スペリオーレD.O.C.G.
  • 品種:マルヴァジア70%/トレッビアーノ20%/ソーヴィニヨン10%
  • タイプ:白ワイン
  • 生産者:ポッジョ・レ・ヴォルピ
  • 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
  • ボディ:ライト~ミディアムボディ
  • 容量:750mL
  • 参考価格:1,300円~1,800円

フォンタナ・カンディダ  カンネッリーノ・ディ・フラスカーティ

甘口のワインでおすすめの1本がこちら。

カンネッリーノ・ディ・フラスカーティとは、イタリアのワイン法における格付けで最高ランクのD.O.C.G.に分類される、遅摘みの糖度が高いブドウから造られる甘口ワインのこと。

「カンネッリーノ」とは、フラスカーティだけに使われる「甘口」を意味する言葉です。

生産者のフォンタナ・カンディダは1958年に創業した、フラスカーティにおける最大の生産者。世界的にも抜群の知名度を誇ります。

同社のカンネッリーノ・ディ・フラスカーティは10月の後半まで熟させたブドウから造られており、洋ナシや白い花の香りに、やさしい甘味と柔らかな酸が調和した繊細な味わいが特徴的。

生ハムやチーズなど塩気のあるおつまみと抜群の相性です。

  • 原産国:イタリア
  • 産地:ラッツィオ
  • 格付け:カンネッリーノ・ディ・フラスカーティ D.O.C.G.
  • 品種:マルヴァジア、トレッビアーノ
  • タイプ:甘口白ワイン
  • 生産者:フォンタナ・カンディダ
  • 味わい:甘口★☆☆☆☆辛口
  • ボディ:ライトボディ
  • 容量:750mL
  • 参考価格:1,100円~1,700円

エスト・エスト・エスト・ディ・モンテフィアスコーネ カンティーナ・ディ・モンテフィアスコーネ

とてもリーズナブルな価格で、いつでも気軽に楽しめる1本がこちら。

かつて、ドイツの司教に先行した従者がモンテフィアスコーネの村のワインを飲んだところ、あまりの美味しさに感激し、「(ここに美味しいワインが)ある!」を意味する「エスト!」の文字を書いて回ったエピソードで知られる、エスト・エスト・エスト・ディ・モンテフィアスコーネです。

生産者は1956年に設立された協同組合、カンティーナ・ディ・モンテフィアスコーネ。1000名近い組合員が収穫したブドウのうち、品質の高いものを使用して、コストパフォーマンスに優れたワイン造りを行っています。

心地よい果実味と穏やかな酸、すっきりとした味わいが特徴的。

寿司や天ぷらなどの魚介類をメインにした和食や、マルゲリータやペペロンチーノなどシンプルな味付けのイタリアンにもよく合います。

  • 原産国:イタリア
  • 産地:ラッツィオ
  • 格付け:エスト!エスト!!エスト!!! ディ モンテフィアスコーネ D.O.C.
  • 品種:トレッビアーノ/マルヴァジーア・ビアンカ/ロッセット
  • タイプ:白ワイン
  • 生産者:カンティーナ・ディ・モンテフィアスコーネ
  • 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
  • ボディ:ライト~ミディアムボディ
  • 容量:750mL
  • 参考価格:900円~1,400円

トッレ・デル・ピアーノ チェザネーゼ・デル・ピリオ・スペリオーレ リゼルヴァ カサーレ・デッラ・イオリア

特別な日にもぴったりな、おすすめの高品質赤ワインがこちら。

ラッツィオ州唯一の赤ワインのD.O.C.G.であるチェザネーゼ・デル・ピリオのなかでも、アクート・エルニチ山の麓にある火山性粘土土壌の単一畑「トッレ デル ピアーノ」で栽培されたチェザネーゼを使い、木樽で7~8か月間熟成させて造られたワインです。

生産者のカサーレ・デッラ・イオリアは、1921年にチェザネーゼ・デル ピーリオに設立された、このエリアのリーダー的存在のワイナリー。チェザネーゼというブドウ品種で最高のワインを造り上げたいという信念を持ってワイン造りに取り組んでいます。

プルーンやイチゴジャム、黒コショウやスミレなどの香りに、力強い果実となめらかなタンニンが調和した、しっかりとした軸のある味わいです。

牛肉や豚肉、羊肉を使った料理によく合います。

  • 原産国:イタリア
  • 産地:ラッツィオ
  • 格付け:チェザネーゼ・デル・ピリオ D.O.C.G.
  • 品種:チェザネーゼ100%
  • タイプ:赤ワイン
  • 生産者:カサーレ・デッラ・イオリア
  • 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
  • ボディ:フルボディ
  • 容量:750mL
  • 参考価格:4,000円~4,500円

まとめ

ラッツィオ州のワインの特徴や産地、おすすめのワインをご紹介しました。

古い歴史を持つラッツィオ州のワインは、長きにわたって人々に愛されてきたワインです。

ぜひローマ帝国の栄枯盛衰などの歴史にも思いを馳せつつ、ラッツィオ州のワインを飲んでみてはいかがでしょうか?