お料理とワインを合わせる時「お魚には白ワイン、お肉には赤ワイン」とお聞きになったことがあるかと思います。
しかし、「お魚・お肉」「白ワイン・赤ワイン」一括りにするにはたくさんの種類がありますよね。お肉には牛、豚、鶏を始め、羊や鹿など幅広い種類があり、さらに胸、モモ、内臓など部位で味わいは異なります。
同様にお魚にも白身や赤身、甲殻類、貝などがあり、何を用いるか、また調理法や味付けをどのようにするかで合わせるもワインも変わります。さらに白ワインにも様々な種類があるので、お料理に合った白ワインを選ぶと食事の楽しみが広がります。
またあまり知られていないロゼワインや赤ワインと合うお魚料理とはどのようなものなのかを交えながらおすすめのワインのご紹介します。
目次
【家飲みにおすすめ】
ワイン定期便「ミシュラン星付きセレクション」
魚の身の色で合わせる
魚は白身魚と赤身魚に大きく分けられます。
白身魚は身が白く、味わいは繊細で淡白です。瞬発的に大きな力を出す筋肉が必要ですが、酸素は使わないので体内のミオグロビンの量ががほとんどなく白身になります。白身のお魚の代表的なものに鯛、タラ、カレイ、平目、鮎、スズキなどがあります。
また赤身魚は身が赤く、ミオグロビンとヘモグロビンを多く含んでいて、それらは長時間活発に筋肉を動かすための燃料となる酸素を運ぶ役割をしています。血合いと脂質を含んでいるので味わいもしっかりとしています。赤身のお魚の代表的なものはサバ、マグロ、カツオ、サンマ、イワシ、サワラ、アジ、ブリなどです。
白身魚に合わせたいワイン
白身の魚には白ワイン全般、または白ワインに近いロゼがおすすめです。海水魚か淡水魚かで味わいが変わるので、合わせるワインをブドウの産地で考えるのも面白いです。
海風の影響を受ける場所で育ったブドウはマイルドな塩気を含みミネラル感のあるワインになり、海水魚との相性が良いと言われています。また伝統的に川の流域や湖の畔で造られるワインも地元淡水魚と合わせる食文化が根付いています。
* 原産国:イタリア
* 産地:マルケ
* 格付け:DOC ヴェルディッキオ ディ カステッリ ディ イエージ
* 品種:ヴェルディッキオ
* タイプ:白
* 生産者:ウマニロンキ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* ボディ:
* 容量:750ml
* 参考価格:1080円~
マルケ州を代表するワイナリーがアドリア海沿岸で造るフレッシュでフルーティーなハイコストパフォーマンスワインです。ミネラル感と余韻に心地よいほろ苦さを感じます。魚介類と全般的に好相性ですが海水魚や貝類に合わせたいです。
* 原産国:イタリア
* 産地:エミリアロマーニャ
* 格付け:DOC オルトゥルーゴコッリディピアチェンティーニ
* 品種:オルトゥルーゴ100%
* タイプ:白
* 生産者:カンティーナボネッリ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* ボディ:
* 容量:750ml
* 参考価格:1980円
エミリアロマーニャ州のトレッビア川沿いに広がる産地で地場品種オルトゥルーゴから造られる上品で繊細なワインです。レモンやアカシアの白い花の香り、おだやかな口当たりアフターにミネラルと伸びやかな酸を感じられます。淡水魚に合わせたいワインです。
赤身魚に合わせたいワイン
赤身魚に白ワインを合わせる時は魚の持つ強い風味と釣り合いのとれる果実の芳醇さがあるものをおすすめします。またロゼワインは色調の淡いものから濃いものまで幅広いタイプが合わせられ、時には赤ワインにもマッチします。
* 原産国:フランス
* 産地:南西地方
* 格付け:IGP
* 品種:タナ55% シラー20% メルロー15% 他
* タイプ:ロゼ
* 生産者:アランブリュモン
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* ボディ:
* 容量:750ml
* 参考価格:1300円
南西地方の品種タナを一躍世界に知らしめたアランブリュモンの手掛けるロゼワインです。フレッシュな摘みたての野イチゴやさんらんぼの赤い果実にほのかなスパイシー感があるロゼは赤身魚の特有の力強い風味を受け止めます。薬味をたっぷり利かせたカツオのたたきなどにオススメです。
* 原産国:フランス
* 産地:ルーション
* 格付け:AOC コート デュ ルーション ヴィラージュ
* 品種:シラー40% グルナッシュ40% ムールヴェードル20%
* タイプ:赤
* 生産者:ドメーヌカズ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* ボディ:フルボディ
* 容量:750ml
* 参考価格:2000円
ルーション地方にあるフランス最大のビオディナミ生産者で家族経営であるドメーヌカズ。フランスの星付きレストランにもオンリストされている信頼も厚いワイナリーです。平均樹齢50年のブドウから造られていて、カシスのような黒系リキュールの味わいは力強くスパイスの風味が豊かでなめらかなタンニンを持ちます。マグロやブリのカマのような脂がのった赤身魚のハーブ焼きにオススメです。
調理法に合わせる
調理法は生で食べる「刺し身、カルパッチョ」など、また火を入れる「焼き、煮、蒸し、揚げ」などがあり、調理法に合わせてワインを選ぶ方法もあります。
ムール貝やアサリ(貝類)の白ワイン蒸しに合わせたいワイン
生食や蒸し調理のように素材の味わいをストレートに反映する調理法の場合は、食材と調和するようなブドウ品種の持ち味と風土を素直に反映したワインをおすすめします。
* 原産国:フランス
* 産地:ラングドック
* 格付け:AOC コトー デュ ラングドック
* 品種:ピクプール100%
* タイプ:白
* 生産者:ドメーヌ ラ グランジェット
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* ボディ:
* 容量:750ml
* 参考価格:1590円
南仏の伝統品種ピクプールは酸とミネラルが豊富です。地中海に面したトー湖が近くにあり牡蠣の養殖も行われており、新鮮なシーフードとマッチすること間違いなしです。貝類に合わせるワインはミネラル感がありまろやかな塩味を感じるものと抜群の相性です。
生ガキに合わせたいワイン
牡蠣にはドライなシャブリを合わせるのが有名ですね。牡蠣は産地により味わいの特徴があるのでワインも色々な産地を合わせられる可能性が考えられます。例えば広島産のような濃厚なものはワインも果実の凝縮感がありつつミネラル感のある爽やかな酸を持つ白ワインをおすすめします。
* 原産国:フランス
* 産地:ラングドック
* 格付け:ヴァンドフランス
* 品種:シャルドネ100%
* タイプ:白
* 生産者:ドメーヌ ド ラ ガランス
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* ボディ:
* 容量:750ml
* 参考価格:2100円
自然栽培には欠かせない気候因子である風に敬意を表してつけられた日本限定キュヴェでビオロジックワインです。味わいは果実味の芳醇さとみずみずしさ、ほのかな塩のミネラル感があり、濃厚なカキの旨味と良いバランスです。生ガキには必ずレモンを絞ることをおすすめします。加熱したカキにも良く合うワインです。
ローストやグリルに合わせたいワイン
ローストやグリル、フリットなどの焼いた香ばしさを楽しむ調理法には樽熟成させて厚みの増した白ワインを合わせるとバランスがとれます。
* 原産国:南アフリカ
* 産地:ウエスタンケープ
* 格付け:
* 品種:シャルドネ
* タイプ:白
* 生産者:ボッシェンダル
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* ボディ:
* 容量:750ml
* 参考価格:2500円
330年もの歴史を誇る南アフリカの伝統的ワイナリーです。熟したトロピカルフルーツの豊かな香りと樽発酵・樽熟成させたふくよかな風味が香ばしい調理に合います。爽やかな酸味を持つので魚の繊細な素材を引き立てます
味付けで合わせる
和洋中のそれぞれの味付けの風味を考慮してワインを合わせるのも一つの方法てす。
生食でシンプルにレモンを絞るだけの場合はワインも柑橘を主体にしたドライな味わいのものを、ハーブを使う時はハーブのニュアンスのあるワインを選ぶとマッチします。
また同様にスパイス、バター、クリーム、オイルなど用いる場合はワインにもそれらの風味や要素のあるワインを合わせて考えるといいでしょう。
クリームやバターで味をしたお魚に合わせたいワイン
* 原産国:フランス
* 産地:ブルゴーニュ
* 格付け:AOC ムルソー
* 品種:シャルドネ
* タイプ:白
* 生産者:ジョゼフ・ドルーアン
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* ボディ:
* 容量:750ml
* 参考価格:6600円
ブルゴーニュを代表する家族経営のワイナリーです。クリーミーでローストアーモンドやビスケットのような少し甘い香りのするふくよかさがあります。ワインのふくよかさと洗練された酸によって、バターやクリームを使った風味豊かな味付けを受け止めつつお魚の繊細さも活かされる好バランスです。
スパイスや香草と合わせたいワイン
* 原産国:ポルトガル
* 産地:アレンテージョ
* 格付け:ヴィーニョ レジョナル アレンテージョ
* 品種:アンタンヴァス60% アリント30% アルバリーニョ10%
* タイプ:白
* 生産者:エルダーデ ド ロシン
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* ボディ:
* 容量:750ml
* 参考価格:1660円
ポルトガルの注目品種アンタンヴァズを天然酵母で醸造した自然派ワイン。トロピカルで豊かな香りとフレッシュな味わいはタイムやローズマリーのようなハーブで香り付けをしたお魚料理に合わせると相乗効果を発揮します。
地域で合わせる
地域で伝統的に食べられている料理とその土地のワインは相性が良いと言われています。
ブイヤベースと合わせたいワイン
例えば有名なのはフランスマルセイユのブイヤベースとプロヴァンスロゼの組み合わせです。ブイヤベースはカサゴなどの岩礁魚を煮込みサフラン、フェンネル、オレンジの皮などで風味付けした磯とハーブの風味豊かなプロヴァンス地方の郷土料理です。それに土地で作られたプロヴァンスロゼを合わせるのは海辺の町の地域に根差した食文化として楽しまれています。
シーフードやブイヤベース、アクアパッツァなどの魚介類とプロヴァンスロゼは安定した相性です。
* 原産国:フランス
* 産地:プロヴァンス
* 格付け:AOC バンドール
* 品種:ムールヴェードル サンソー グルナッシュ
* タイプ:ロゼ
* 生産者:ドメーヌ オット
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* ボディ:
* 容量:750ml
* 参考価格:5000円
フランスを代表する老舗ロゼの生産者です。ドメーヌの顔と言えるこのワインはボトルの形は美しく優雅で、アプリコットやオレンジのフレッシュな香り、ムールヴェードル由来の丸みと塩のミネラルを感じさせます。ドメーヌオットは直接圧搾法でロゼを作り始めたパイオニアです。
生臭さの原因
魚介類とワインを合わせているときたまに単体では感じられない生臭さが生じることがあります。特に数の子(魚卵)、干物、加工されたものに多く、それはワインに含まれる鉄分が口のなかで魚の脂質と結び付き発生するのが原因というメルシャンの研究結果があり、ワインと合わせるのは難しい食材も存在します。
ただヨーロッパでは、例えばからすみにクリームチーズを合わせたり、オリーブオイルをかけたりすることで臭みが感じにくくなり、油脂が脂肪分のある食材の生臭味を和らげる働きをしていると言われています。色々と試行錯誤してみるのも楽しいかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。お魚とワインの相性には白ワインのみならず、ロゼ、赤にも合わせられる幅広い可能性があり、思わぬ好相性が見つかると日々の食事とワインの楽しみが広がると思います。ぜひ色々とお試し下さい。