よく話題に上るオレンジワインですが、どんな銘柄を選べばいいかわからない方も多いようです。
美味しい「おすすめオレンジワインを10本厳選」してご紹介します。
最近『オレンジワイン』という言葉をよく耳にするようになりました。
オレンジといっても『柑橘のオレンジ』で造られいる訳ではありません!では一般的な白ワインや赤ワインとは一体どう違うのでしょうか?
また『オレンジワインって何?』という質問もよくあるので、今回はオレンジワインの造り方や、特に人気の『オレンジワインおすすめ10選』をご紹介します。
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オレンジワインとは?
白ワイン・赤ワインとオレンジワインの違い
- 【白ワイン】
白ブドウから『搾った果汁のみ』を発酵させます。
※一部赤ワイン用の黒ブドウを使用するタイプもあります。 -
【赤ワイン】
黒ブドウの『果皮と種子』を一緒に*醸して発酵させます。
*醸し(かもし)=色素やタンニンなどの成分を抽出させるため、皮や種を一緒に漬け込むこと。 -
【オレンジワイン】
白ワイン用の白ブドウの『果皮と種子』を一緒に醸して発酵させます。
上記の通り、オレンジワインは『白ワイン』に分類されます。簡単に言うと、『赤ワインの製法』を用いて造られる『白ワイン』が『オレンジワイン』という事になります。
このオレンジワインという呼び方はイギリスのワイン商が造った造語で、オレンジワインの発祥の地ともいわれる国『グルジア(現ジョージア)』では『アンバーワイン』という名称で呼ばれています。ちなみにアンバーとは『琥珀』や『琥珀色』の意味で、その名の通り琥珀色したものが多数あります。
オレンジワインの造り方
もう少し詳しくオレンジワインの造り方を紹介しましょう。
オレンジワインの造り方の最大の特徴は、「スキンコンタクト法」という発酵方法にあります。スキンコンタクト法では白ぶどうの果皮や種子を果汁と一緒に長時間漬け込みます。それにより、渋み成分や色味成分を果汁中にしっかりと抽出するのです。
一般的に白ワインで行われるスキンコンタクトは10〜24時間ですが、オレンジワインとなると数週間〜数ヶ月と長くなっています。その醸し時間の違いにより、オレンジ〜琥珀色で深みとコクのある複雑なオレンジワインが生まれるんですね。
また、スキンコンタクトの期間や使用するぶどう品種に厳密な定義はありません。そのため個性が豊かであることもオレンジワインの特徴の一つと言えるでしょう。
オレンジワインの特徴と味わい
オレンジワインは、「原料は白ぶどう、造り方は赤ワインと同じ」という特徴から、白ワインと赤ワインの両方の要素を併せ持つワインです。
赤ワインのようなコクと渋みを持つことにより、白ワインにはない深みを与えています。また、オレンジワイン独特の色合いから思わせるオレンジピールのようなビターな味わいと、はちみつや熟したアプリコット・黄桃のようなコクのある風味が特徴です。
オレンジワインの歴史
昨今の自然派ワインブームにのり、注目を浴びるようになったオレンジワインですが、その起源は今から8000年近くも遡り、ワイン発祥の地と言われているジョージアワインの醸造法が礎となります。
グルジア(ジョージア)では、伝統的に『クヴェヴリ』と言われる土中に埋めた陶器の中で、白ブドウの果皮や種を果汁と一緒に発酵させて白ワイン(オレンジワイン)を造っていました。それまで地元以外には流通していませんでしたが、後にイタリアの北部『フリウリ州』の生産者『ヨスコ・グラヴナー』が1998年に初のオレンジワインを造りました。
フランスやイタリアでは、オーガニック農法でぶどうを栽培したり、酸化防止剤を極力抑えたワインを造るナチュールワイン生産者が増えています。そんな彼らがジョージアの伝統的なワイン造りにインスピレーションを受け、造り出したオレンジワインが脚光を浴び、オレンジワインブームが訪れたのです。
現在ではナチュラルワインの生産者以外もオレンジワインを造り始めたため、必ずしも『オレンジワイン=ナチュラル』というわけではないようです。
また、近年では『フードとのペアリング』も注目されているため、独特な食材や香辛料を使用した『エスニック料理』や『中東料理』など、白ワインや赤ワインでは合わせずらい料理にもマッチすると人気も上昇しています。
代表的なブドウ品種
ヴィオニエ(主にフランスの主要品種)
ゲヴェルツトラミネール(主にフランスやドイツの主要品種)
ピノ・グリ/ピノ・グリージョ(主にイタリアの主要品種)
ルカツィテリ(グルジア・ジョージアの土着品種)
など『アロマティック』で『酸』や『タンニン』のある独特な風味のブドウが使用されています。
近年では日本の品種『甲州』などから造られる『優しい味わい』のオレンジワインもリリースされています。
それでは、魅惑のオレンジワインのおすすめ10選をご紹介していきます。
オレンジワインおすすめ10選!!
それぞれのオレンジワインの特徴や、一緒に食べたい料理もご紹介します。
デナーヴォロ・カタヴェラ (イタリア)
イタリアはエミリア・ロマーニャ州の生産者 『デナーヴォロ』の造るオレンジワインです。徹底した自然農法により、農薬や除草剤を一切使用しません。
ブドウ品種は『マルヴァジーア』『オルトゥルゴ』使用しており、伝統的に足で破砕して野性酵母のみで発酵しています。また約30日~100日間『醸し』を行います。そのため、皮や種から抽出される『タンニン(渋み)』も感じられるドライな味わいとなっています。
焼き魚などグリルの香ばしいさのある料理によく合います。
- 原産国:イタリア
- 産地:エミリア・ロマーニャ州
- ブドウ品種:マルヴァジーア、オルトゥルゴ、マルサンヌ
- 生産者:デナーヴォロ
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:2,200円~2,600円
マカシヴィリ・ワイン・セラー・ルカツィテリ (ジョージア・グルジア)
ジョージア(旧グルジア)はヨーロッパとアジアの境にある国です。そのジョージアの『カヘティという地区』にある生産者の『ヴァジアニ・カンパニー』が造っています。旧グルジアの時代よりワイン造りが栄えており、『オレンジワイン発祥の地』とも言われています。
有機栽培の『ルカツィテリ種』という土着品種を使用して、『クヴェリ』という『甕壺』で天然酵母により果皮ごと醸造されます。また果皮と共にグヴェヴリで6ヶ月の熟成も行うため、深みのある琥珀色で黄桃のような甘やかな果実味のある辛口となります。
中華料理やエスニック系のオリエンタルな料理によく合います。
- 原産国:ジョージア(旧グルジア)
- 産地:カヘティ
- ブドウ品種:ルカツィテリ
- 生産者:ヴァジアニ・カンパニー
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:2,500円~2,800円
ダリオ・プリンチッチ・ヴィーノ・ビアンコ(イタリア)
北イタリアはフリウリの名門『ダリオ・プリンチッチ』が造るオレンジワインです。フリウリの巨匠『故ラディコン』と同級生でラディコン同様に『オレンジワイン』を世に広めた先駆者的な存在です。また先に述べたヨスコ・グラヴネルの友人でもあります。
ワイン造りもラディコンに習い『化学薬品の不使用』や『天然酵母のみで発酵』するなど、ナチュラルなワイン造りを行っています。ブドウ品種は『シャルドネ』、『ソーヴィニヨンブラン』という国際的な品種に土着の『ピノ・グリージョ』を使用している『程よいタンニンと厚み』に柔らかい酸を感じる味わいになっています。
酸と程よいタンニン(渋み)のバランスが絶妙な1本で、和洋中問わず様々な料理に合います。
- 原産国:イタリア
- 産地:フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州
- ブドウ品種:シャルドネ、ソーヴィニヨン、ピノ・グリージョ
- 生産者:ダリオ・プリンチッチ
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:2,800円~3,600円
甲州 F.O.S・足利ココファーム・ワイナリー(日本)
栃木県の足利にある『ココファーム・ワイナリー』は障害者支援施設こころみ学園で育てられたブドウを使用しています。『沖縄サミットの晩餐会』でも振る舞われ話題となりました。
そのココファームで国産品種の『甲州』から造られているオレンジワインが『甲州 F.O.S』です。除草剤を使用せず、天然酵母で醸造されます。国産ワインでは珍しい『パワフルで繊細』な味わいのある辛口タイプです。
ハッキリとした琥珀色で国産の白ワインとしては力強さも感じられる味わいで、様々な料理に合う万能タイプです。
- 原産国:日本
- 産地:栃木県
- ブドウ品種:甲州
- 生産者:ココファーム・ワイナリー
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:3,300円~3,600円
セヴェロ・ビアンコ・ロンコ・セヴェロ(イタリア)
北イタリアはフリウリで造られるオレンジワインです。フリウリといえば巨匠ともいわれた『故ラディコン』が有名で、オレンジワインを世に広めた第1人者でもあります。
そのラディコンに学んだ『ロンコ・セヴェロ』のオレンジワインは自然農法によるキレのある酸とコクが特徴です。ブドウ品種はフリウラーノ、シャルドネ、ピコリット、リボッラジャッラという『北イタリアの代表的な品種』が使用されています。
チキンや豚肉など白身の肉料理にの他グリルした魚料理など、様々なお料理とよく合います。
- 原産国:イタリア
- 産地:フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州
- ブドウ品種:フリウラーノ、シャルドネ、ピコリット、リボッラジャッラ
- 生産者:ロンコ・セヴェロ
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:3,500円~3,800円
サトウ・ノースバーン・ブラン・セントラルオタゴ(ニュージーランド)
ニュージーランドはセントラルオタゴで日本人醸造家の『佐藤夫妻』が造るオレンジワインです。
『バイオダイナミック農法』による自然に任せたブドウ栽培を取り入れ、ワイン造りにも亜硫酸の添加を極力行いません。ブドウ品種はシャルドネ、ピノ・グリ、リースリングが使用されています。
見た目から深みある『オレンジ色』をしていて、レモンピールや生姜のような爽快でビターな味わいとキャラメルのような香ばしさが広がる厚みのある味わいがあります。
魚介のフライや天ぷらなどの他、牛の赤身ステーキなどの肉料理にもよく合います。
- 原産国:ニュージーランド
- 産地:セントラルオタゴ
- ブドウ品種:シャルドネ、ピノ・グリ、リースリング
- 生産者:サトウ・ワインズ
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:4,500円~4,800円
クラヴァン・ワインズ・ピノ・グリ(南アフリカ)
南アフリカはステレンボッシュのオレンジワインです。オーストラリア人生産者の『ミック・クラヴァン』が、南アフリカ人の妻と一緒に2014年に設立した比較的新しいワイナリーです。
ピンク掛かった色合いの『ピノ・グリ種』を使用しているため、ワインの色合いにも濃いピンク色が見られます。
また『フレンチオーク(フランス産の樽)』で約9ヶ月熟成される事で、非常にリッチな味わいに仕上がっています。
シンプルなステーキや焼き野菜などによく合います。
- 原産国:南アフリカ
- 産地:ステレンボッシュ
- ブドウ品種:ピノ・グリ
- 生産者:クラヴァン・ワインズ
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:3,000円~3,500円
ドンキー&ゴート・ラマート・ピノ・グリ(アメリカ)
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アメリカはカリフォルニアで造られるオレンジワインです。生産者は『ドンキー・アンド・ゴート・ワイナリー』で、夫婦で経営しているワイナリーです。
2001年にワイン造りをスタートさせた『ドンキー&ゴート』は『バイオダイナミック農法』を取り入れ、昔ながらの手法でワイン造りを行っています。ブドウ品種はピノ・グリを使用していて、足踏みした後に『コンクリートタンク』と『フレンチオーク』を使い分けて『天然酵母』により醸造されています。熟したアプリコットやブラッドオレンジのような風味豊かな香りが特徴的な辛口タイプです。
今ではカリフォルニアの自然派ワインを代表する生産者として高い評価を得ています。
パインのようなトロピカルな果実味のある辛口タイプで、和風の煮物など甘味のある味付けによく合います。
- 原産国:アメリカ
- 産地:カリフォルニア
- ブドウ品種:ピノ・グリ
- 生産者:ドンキー・アンド・ゴート・ワイナリー
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:4,000円~4,500円
カスターニャ・ハーレクィン・ジェダイ(オーストラリア)
オーストラリアはヴィクトリア州の生産者『カスターニャ』の造るオレンジワインです。
オーストラリアでは珍しく『100%バイオダイナミック農法』を実践しているワイナリーです。ブドウ品種はルーサンヌ、ソーヴィニヨン、セミヨン、ヴィオニエを使用しています。
フランスの代表的な品種を『アンフォラ』という『素焼きの壷』で醸す事により、圧倒的な輝きの琥珀色で力強い飲みごたえとなります。
ステーキなど重めの肉料理にもよく合います。
- 原産国:オーストラリア
- 産地:ヴィクトリア州
- ブドウ品種:ルーサンヌ、ソーヴィニヨン、セミヨン、ヴィオニエ
- 生産者:カスターニャ・ハーレクィン
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:4,200円~4,600円
スクライブ・シャルドネ・スキンファーメンテッド・カーネロス (アメリカ)
カリフォルニアのカーネロスにある新進気鋭の生産者『スクライブ・ワイナリー』のオレンジワインです。
ワイナリーでは『有機農法』と『天然酵母による醸造』に取り組んでいて、『樽の強い香り』や『アルコール度数を抑えた』ナチュラルなワイン造りを行っています。ブドウ品種はシャルドネを使用しています。
洋梨のような濃厚な果実味と程よいタンニン(渋み)が特徴です。
サーモンや豚肉のハニーマスタードソースなどによく合います。
- 原産国:アメリカ
- 産地:カリフォルニア/カーネロス
- ブドウ品種:シャルドネ
- 生産者:スクライブ・ワイナリー
- 味わい:甘☆☆☆☆★辛
- 参考価格:5,000円~6,500円
オレンジワインと合う料理
オレンジワインは、食中酒としてお料理と一緒に愉しむことのできるワインです。そして、何と言っても強みは、前菜からお魚・お肉料理等のメインディッシュまで幅広く色々なお料理とのペアリングを楽しめるという点です。
白ワインで合わせるような軽めのお料理にはフレッシュ感を際立たせるために冷やして。こってり系のボリュームのある料理には熟成感・複雑性を際立たせるために16〜20度くらいの赤ワインと同じ程度の温度で飲むと良いでしょう。
酸と苦味と甘みを複雑に併せ持つオレンジワインには、香りや風味に特徴のあるお料理がとても合います。例えば、燻したベーコンやチーズやサーモン等スモーキーな香りととても合います。個人的にお薦めしたいのは、いぶりがっこの上にクリームチーズを乗せてオレンジワインを合わせる組み合わせ。是非、お試しあれ。
また、なかなかワインとは合わせづらい、味噌や醤油等を使った家庭料理、鰻や天ぷら唐揚げなどとも意外に相性は良いです。フルーツならドライフルーツのアプリコットやなつめなど、酸味のあるハード系のドイツパンなどともとても良く合います。
いろんな要素を併せ持つオレンジワイン。ペアリングが楽しめるお料理はまだまだあるはずです。あなたのお気に入りの組み合わせを発見するのもまた、オレンジワインの楽しみ方の一つになるかもしれませんね!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は『オレンジワインおすすめ10選』をご紹介しました。
分類上は『白ワイン』ですが、赤ワインのように『醸し(かもし)』という工程を行うところが通常の白ワインとは異なります。
また『有機農法』や『添加物の不使用』などこだわりの生産者も多く、手間暇かけた『白ワイン』とも言えます。一昔前は『個性的』で『ひと癖ある』味わいのもの大半でしたが、近年では『ほのかにオレンジがかった』優しい口当たりのオレンジワインも増えてきました。
様々な料理にも合わせやすい『万能タイプ』ですので、まだ『オレンジワインを飲んだことがないっ!』という方は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。