前回は日本の代表的な産地とブドウ品種について解説しました。これまでの日本ワインは古くからある『固有品種のワイン』や日本人の好みに合うように開発された『甘口のワイン』などが主流となっていましたが、近年では海外のワイナリーで修行を積んだ『新進気鋭の若手生産者』による『最新の技術を取り入れた製法』や『テロワール』など気候風土を引き出し栽培された『国際的なブドウ品種』のワインも多数生産されるようになりました。
今回は日本ワインの中でも近年注目されている『話題の生産者とおすすめワイン7選』をご紹介したいと思います。
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日本のワイン新銘醸地
新潟ワインコースト
『日本ワインの父』と呼ばれる『川上善兵衛氏』が新潟県上越市に『岩の原葡萄園』を開設し、新潟県は日本ワインの発祥の地ともいわれるようになりました。
今、この新潟県の南西部にある海岸エリア『角田浜』で新進気鋭の話題の生産者のワイナリーが注目されています。日本海から1キロほど内陸にある標高480mの『角田山』のふもとにブドウ畑が広がり、『新潟ワインコースト』と呼ばれています。
角田浜は日本海と信濃川に囲まれた地形で、昼は温暖な『海の潮風』、夜は『冷涼な山風』が吹くため、安定した気温を保つ利点があります。フランスでは大西洋とジロンド河に挟まれた『ボルドー地方』にも似ています。
このエリアは海岸特有の『砂質土壌』で水捌けもよく、リアス式の地形が特徴です。そのため同じ形状したスペインの『※リアスバイシャス地方』の白ワイン用の品種『アルバニーリョ』の栽培も盛んに行われています。
現在10軒ほどのワイナリーがあります。その中心として話題になっているのが、新潟ワインコーストのパイオニアといわれる1992年創設の『カーブドッチ』です。そしてカーブドッチのワイナリー経営塾から育った、『フェルミエ』『ドメーヌ・ショオ』『カンティーナ・ジーオセット』『ルサンクワイナリー』の4つのワイナリーも注目を集めています。
ワイナリー以外にもレストランやカフェなどの飲食店やホテルや温泉施設など、ワインツーリズムも楽しめる環境にも力を入れていて今後が楽しみなワイン産地です。
※リアスバイシャス地方=スペイン西部ガリシア州にある、ポルトガルとの国境付近の産地。海岸線が複雑に入り組んだ形状で、日本でいうリアス式海岸。霧が発生しやすく夏でも最高気温は30度を超えず、冬も氷点下にはならない気候。
日本ワインの歴史と川上善兵衛氏についてはコチラをご覧下さい。↓
日本ワインとは?おすすめ品種やワイナリーを詳しく解説|国産ワインとの違いや歴史について
日本ワイン話題の生産者
OSAWINERY(オサワイナリー)
OSAWINERYは2015年北海道の小樽市に創業したワイナリーです。元大手酒類メーカーにおられた長(おさ)オーナーと奥様で栽培と醸造を行っています。
小樽と余市に3ヶ所畑を所有していて、ナイアガラや北海道では代表的なオーストリア原産のツヴァイゲルトのほか、シャルドネやゲヴュルツトラミネールなど国際品種からもワインが造られています。
年間生産量は約1万本と少ないため毎年すぐに完売してしまうほどの人気のワイナリーです。
築100年の石造りの建物の1階が醸造所となっており、2階にショップとテイスティングスペースが併設されています。観光で訪れた方も気軽に立ち寄れるアットホームな空間です。
スッキリとした辛口の白ワインとロゼワインは北海道の海の幸には最高のマリアージュとなっています。
■日本ワイナリーアワード2020
個性が光る注目のワイナリー『コニサーズワイナリー』受賞。
OSAWINERY(オサワイナリー)
住所:北海道小樽市色内1丁目6-4
ショップとテイスティングスペースあり
営業時間:木曜日〜土曜日
※収穫と醸造期は不定休
TEL:0134-61-1955
カンティーナ・ジーオセット
新潟市の西部30kmに位置する角田浜で2013年に創業したワイナリーです。オーナーの瀬戸(せと)氏は後述の『カーブドッチワイナリー』で栽培と醸造を学びました。
日本海の海岸地帯に広がる『新潟ワインコースト』と呼ばれるエリアで1ヘクタールほどの自社農園を所有しています。ツヴァイゲルトをはじめ、カベルネソーヴィニョンやイタリアのバルベーラなど赤ワイン用の品種を栽培しています。このエリアで新潟発祥の日本固有種『マスカット・ベーリーA』にも取り組んでいます。
また毎年ワイナリー近隣の小学校児童とともにブドウの収穫作業を行うなど、地域との交流にも力を入れているワイナリーです。
■日本ワイナリーアワード2020
個性が光る注目のワイナリー『コニサーズワイナリー』受賞。
カンティーナ・ジーオセット
住所:新潟県新潟市西蒲区角田浜1697-1
営業時間:11:00〜16:00
TEL:0256-78-8065
ハイディワイナリー
石川県輪島市の門前町という、能登半島の西に位置する町に2011年に創業したワイナリーです。
比較的に丘陵地が多く、程よい日照量や『リアス式』の海岸からの潮風の影響もワインにミネラルや深みを与えてくれています。オーナーの高作(たかさく)氏は長らくIT業界に関わっており、その経験と知識を活かした手腕でワイナリーの運営と地域の活性化にも尽力されています。
栽培されている主な品種は『カベルネソーヴィニョン』や『メルロー』など赤ワイン用品種と『シャルドネ』や『ソーヴィニョンブラン』、『※アルバリーニョ』など白ワイン用品種です。
ワイン造りの特徴は『除草剤や化学肥料』は一切不使用、有機堆肥などを取り入れた『土づくり』や収穫量を抑えた『ブドウ樹の仕立て方』などを取り入れています。また収穫は手摘みで行い、醸造の際の発酵も都度状況に合わせて温度管理するなど徹底されています。
ワイナリーにはレストランも併設されており、能登の旬の食材も楽しめます。ワイナリー見学やテイスティングなどのツアーもあります。
ちなみにハイディの由来はオーナーが学生時代留学していたスイスのアルプスの少女『ハイジ』からだそうです。
■日本ワイナリーアワード2020
個性が光る注目のワイナリー『コニサーズワイナリー』受賞。
※アルバリーニョ=スペインのガリシア地方やポルトガルのミーニョ地方の白ワイン用の土着品種。
ハイディワイナリー
住所:石川県輪島市門前町千代31-21-1
営業時間:
ワインショップ10:00〜17:00
ランチ11:30-14:00 (L.O)
カフェ14:00-16:30 (L.O)
ディナー17:00-19:30 (L.O)
定休日:火曜日
TEL:0768-42-2622
多田農園
北海道上富良野にあるワイナリーです。ワイン用ブドウのほかにも、人参やとうもろこしなどの農作物も作っている生産者です。
明治34年に農園として創業後、2007年にブドウ苗木の植樹を開始しました。当初は委託醸造でワインを造っていましたが、2016年に自社のワイナリーを開設しました。オーナーの多田氏はワインだけでなく、農作物作り全般で『自然との調和を図りながら循環できる農業』に取り組んでいる生産者です。
フランスのブルゴーニュやカリフォルニアのナパヴァレーなどを訪れ本格的なワイン造りを目指し、ピノノワールやシャルドネの栽培をスタートしました。現在ではメルローや※ミュラートルガウの栽培も行なっています。
農園内にはワインショップのほかペンションやバーベキューワンハウスもあり、ブドウ畑を見学した後にゆっくりと楽しめます。
■日本ワイナリーアワード2020
個性が光る注目のワイナリー『コニサーズワイナリー』受賞。
※ミュラートゥールガウ=1882年にスイス人植物学者のヘルマン・ミュラー氏によって開発されたスイス・トゥールガウ州原産の交配種。主にドイツやオーストリアの白ワイン用に使用されている。
カーブドッチ ・ワイナリー
新潟県の角田浜にある1992年創設のワイナリーで、前述した『新潟ワインコースト』で最初にワイン造りを始めたワイナリーです。カンティーナ・ジーオセットやフェルミエホンダなど今話題の生産者にワイン造りとワイナリー経営を指導した新潟ワインのリーダー的存在です。
冬は積雪が少なく、夏は日照量が多く雨が少ない気候が特徴です。砂質土壌に堆肥を混ぜて土づくりを行い、自然に草木を生やし微生物を利用した減農薬農法を取り入れてブドウ栽培を行なっています。『国産ブドウ』と『シャルドネ』や『メルロー』など国際品種を多数栽培しています。
1995年にカーブ・ドッチホールを建設して、レストラン、ソーセージ工房、ベーカリーも運営しています。2007年にはスパと宿泊施設も完備されました。東京にも進出し現在ではワイナリー内に※オーベルジュもオープンしました。
ワイナリー経営塾も開催しており、卒業生にはワイナリーフェルミエ、ドメーヌ・ショオ、カンティーナ ジーオセット、ルサンクワイナリーなど人気のワイナリーがあります。
■日本ワイナリーアワード2020
★★★三ツ星受賞。
※オーベルジュ=主に郊外や地方にある、宿泊設備を備えたレストラン。
ドメーヌ テッタ
2016年に岡山県の北西部新見市に開設されたワイナリーです。
ブドウ畑は標高400mに位置していて、ヨーロッパのような気候環境です。その豊かな環境から白桃やピオーネ(ブドウ)、トマトなどの生産も盛んな地域です。
岡山は『晴れのおかやま』といわれるほど日照量も多く、この地の冷涼な気候により寒暖差も生まれブドウの生育にも良い影響を与えています。石灰質のカルスト台地土壌に生食用ブドウとワイン用ブドウが約18,000本ほど栽培されています。石灰質と赤土により水捌けは良く、高品質なワイン造りには最適です。
日本の固有品種『マスカットベーリーA』をはじめ、『シャルドネ』や『メルロー』などの国際品種も栽培されています。醸造には野生酵母を使用していて、糖度を補う『補当(ほとう)』などは行っていません。醸造後はステンレスタンクや樽など、ワインのタイプにより使い分けて熟成してきます。
新見市は元々石炭産業の地域だったため、所々に石炭採掘の坑道があります。温度約13℃、湿度80%という環境をドメーヌ テッタでは長期熟成用の貯蔵庫(カーブ)として利用しています。
■日本ワイナリーアワード2020
★★★三ツ星受賞。
ドメーヌ テッタ(TETTA)
住所:岡山県新見市哲多町矢戸3136
TEL:0867-96-3658
島之内フジマル醸造所
大阪府島之内の種類販売業を営む『株式会社パピーユ』が運営するワイナリーです。
フジマル醸造所は2010年より自社ワインの醸造を開始しました。当初は大阪で創業100年を超える老舗『カモシタワイナリー』へ委託醸造していました
大阪のワイン造りの歴史は古く、1930年頃の最盛期には100軒ほどの醸造所があったそうです。
柏原市に2.5ha(ヘクタール)の自社ブドウ畑を所有していて、『デラウェア』を中心に『マスカットベーリーA』や『甲州』のほか、現在では『『シャルドネ』や『ピノノワール』などの国際品種からもワインからワインが造られています。
メイドイン大阪にこだわり、ブドウの圧搾機も大阪の八尾市の町工場で作られています。街中でワイン造りする珍しい醸造所で、海外の生産者も多数見学に来られています。『自然派ワインの巨匠『フィリップパカレ』氏もその一人で、初めて訪問された生産者です。
種類販売業としてワインショップやレストランなども経営しているため、スタッフにはソムリエの資格を持つ方も多数います。
■日本ワイナリーアワード2020
★★★三ツ星受賞。
日本ワイン話題の生産者おすすめワイン7選
OSAWINERY(オサワイナリー) DELLA VISTACビスタ)
北海道の小樽市ワイナリー『OSAWINERY(オサワイナリー) 』の白ワインです。余市の契約農家により栽培された『デラウェア』を使用しています。ほんのりとピンクがかった輝きのある色合いです。デラウェアならではの甘い果実味と程よい酸味とタンニンも感じるやや辛口(やや甘口)の中間タイプです。
生ハムメロンのようなフルーティなサラダ仕立てや優しい味わいの和食、また逆にエスニックなど香辛料の効いた料理にもよく合います。
- 原産国:日本
- 産地:北海道/小樽
- 格付け:-
- 品種:デラウェア
- タイプ:白ワイン
- 生産者:OSAWINERY(オサワイナリー)
- 味わい:甘口☆☆★☆☆辛口
- ボディ:-
- 容量:750ml
- 平均価格:3,500円~4,000円
ヴィーノ・ロッソ/ガッロヴェルデ カンティーナ・ジーオセット
新潟県の新興エリア『新潟ワインコースト』の生産者『カンティーナ・ジーオセット』の造る赤ワインです。オーストリア原産で日本では北海道で馴染み深い品種『ツヴァイゲルト』を使用しています。より冷涼な気候に適するツヴァイゲルトとしては新潟は南限ともいわれています。ミントのようなフレッシュな果実味で心地よい酸味と穏やかなタンニンのあるミディアムボディです。
トマトを使った少し酸味のある料理やラムチョップの香草焼きなどハーブの効いた料理によく合います。
- 原産国:日本
- 産地:新潟県/角田浜
- 格付け:-
- 品種:ツヴァイゲルト
- タイプ:赤ワイン
- 生産者:カンティーナ・ジーオセット
- 味わい:-
- ボディ:ミディアムボディ
- 容量:750ml
- 平均価格:3,500円~4,000円
ハイディワイナリー メルロー
石川県輪島市の生産者『ハイディワイナリー』の造る赤ワインです。能登半島の海岸のミネラルを含んだ『メルロー』を使用しています。ラズベリーのような甘酸っぱい果実味と柔らかいタンニンがあり、余韻にはチョコレートのようなビターなコクのあるミディアムフルボディです。
牛肉のグリルやポークのBBQソース、角煮などコクのある料理によく合います。
- 原産国:日本
- 産地:石川県/輪島
- 格付け:-
- 品種:メルロー
- タイプ:赤ワイン
- 生産者:ハイディワイナリー
- 味わい:-
- ボディ:ミディアムフルボディ
- 容量:750ml
- 平均価格:3,000円~3,800円
多田農園 ピノノワール
北海道上富良野の生産者『多田農園』の造る赤ワインです。海富良野岳の影響による火山灰土壌で栽培される『ピノノワール』を使用しています。ミネラル豊富でカシスのような果実味と野生酵母発酵による酸味が特徴です。ナチュラルな口当たりのスッキリとした余韻のミディアムボディです。
スモークチキンやサーモンサラダ仕立てポン酢で食べる鍋料理などに良く合います。
- 原産国:日本
- 産地:北海道/上富良野
- 格付け:-
- 品種:ピノノワール
- タイプ:赤ワイン
- 生産者:多田農園
- 味わい:-
- ボディ:ミディアムボディ
- 容量:750ml
- 平均価格:3,800円~4,500円
カーブドッチ やまどり飛ぶ ロゼスパークリング(微発泡)
新潟県の角田浜の『新潟ワインコースト』のパイオニア的な生産者『カーブドッチ』の造るロゼスパークリングワインです。東北地方の『ラブルスカ』を数種ブレンドしています。ブドウ本来の香りにイチゴのような果実味のあるフレッシュで上品な口当たりです。きめ細かい泡立ちと程よいビターさもある辛口タイプです。
軽めの肉料理やサーモン料理、サラダ仕立てなど野菜を中心とした料理によく合います。
- 原産国:日本
- 産地:新潟県/角田浜
- 格付け:-
- 品種:東北地方のラブルスカ数種
- タイプ:ロゼワイン
- 生産者:カーブドッチ
- 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
- ボディ:-
- 容量:750ml
- 平均価格:3,000円~3,500円
シャルドネ ペルラン ドメーヌ テッタ(TETTA)( 微発泡)
岡山県新見市の生産者『ドメーヌ テッタ(TETTA)』の造る微発泡の白ワインです。冷涼な気候で栽培される『シャルドネ』を使用しています。天然酵母発酵で酸化防止剤無添加などが特徴です。白桃や洋梨のような果実味があり、ジューシーな口当たりと酸味のある辛口タイプです。『濾過』は粗く濾す程度のため、澱が沈殿していて程よいコクも感じます。
サラダ全般や魚介や野菜の天ぷら、フルーツ系のソースなど少し酸味のある軽めの料理によく合います。
- 大阪府島之内
- 原産国:日本
- 産地:岡山県/新見市
- 格付け:-
- 品種:シャルドネ
- タイプ:白ワイン(微発泡)
- 生産者:ドメーヌ テッタ(TETTA)
- 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
- ボディ:-
- 容量:750ml
- 平均価格:3,800円~4,500円
キュヴェパピーユ 大阪WHITE 島之内フジマル醸造所
大阪府島之内の生産者『島之内フジマル醸造所』の造る白ワインです。大阪府産『デラウェア』を100%使用しています。ステンレスタンクで12ヶ月熟成させたワインに『※クヴェヴリ』で熟成させた醸しの『オレンジワイン』をブレンドしています。熟した洋梨のようなトロピカルなコクの果実味に程よい酸味とビターな余韻がある辛口タイプです。
鶏肉のクリーム煮やポークジンジャー、魚介のバターソテーなど少しコクのある料理にもよく合います。
※クヴェヴリ=ジョージアの土を使い、窯で焼き上げられた素焼きの壺や甕。白ブドウの果皮や種を果汁と一緒に発酵させて白ワイン(オレンジワイン)を造るための伝統的な製法。
- 原産国:日本
- 産地:大阪/島之内
- 格付け:-
- 品種:デラウェア
- タイプ:白ワイン
- 生産者:島之内フジマル醸造所
- 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
- ボディ:-
- 容量:750ml
- 平均価格:3,500円~3,800円
まとめ
今回の日本ワイン話題の生産者おすすめワイン7選はいかがでしたか?海外から比べるとまだ歴史の浅い日本のワインですが、100年ほどの歴史の中で様々な変化をしてきました。
気候や土壌だけでなく新しいブドウ品種や栽培と醸造技術なども多種多様な時代となりました。しかしワインは農作物で人の手なしでは造れません。それらを造る生産者の情熱や学ぶ努力があって今日の日本ワインがあるのではないでしょうか?
今後も新たなチャレンジをする話題のワイナリーに注目したいですね。